情熱トップインタビュー

VOL.27 三城賢士氏 池田親生氏

<インタビュアー:林 信吾>
合同会社ちかけん プロフィール
熊本・阿蘇を拠点にし、熊本を代表するお祭りの一つ「みずあかり」など竹を利用した「竹あかり」の創作(指導)・プロデュースを手がける。また、竹あかり使用後の竹を堆肥化し、農業利用するなど、環境循環型ビジネスにも取り組む。情熱経営フェスタ2010の会場装飾も手がけた。 ■合同会社ちかけんHP → http://chikaken.com/
主な実績
みずあかり総合監修(熊本)・東京ミッドタウン(東京)・表参道イルミネーション(東京)・富士まつり(静岡)・ap bank fes(静岡)・京丹後市(京都)・スペースワールド(福岡)・グランドプリンス高輪(東京)・小豆島(香川)・VISIT JAPAN Travel Mart 2010(幕張)など
-- お二人は大学を卒業した後、すぐに合同会社ちかけんを設立したとのことですが、それにはどのような経緯があったのですか?
みずあかり(熊本県)の様子
三城: 大学時代、二人とも、同じ研究室に所属していました。 その研究室では、地元の竹を利用した「竹あかり」という祭りを通して町を活性化する「まつり型まちづくり」に取り組んでいます(※1)。
通常、祭自体は1、2日で終わってしまいますが、私は、それを日常のまちづくりにどう利用していくのか、どう影響を与えさせていくのか、ということを研究のテーマとしていました。
この竹あかりは、本当に幻想的で美しく、祭の会場に足を運ばれた来場者の中にはファンになる方も多くいらっしゃいます。
ですから、当時から、地元の飲食店や高級ホテルなどの方々から、「ウチでもやって欲しい」という声を多くいただいていました。
それで、私たちはこの竹あかりを祭のときだけ利用するのではなく、結婚式場や各種イベント会場などで利用できればビジネスになると考え、大学院卒業後、すぐに起業しました。
-- 「竹あかり」は竹を利用していますが、それにはこだわりがあるのですか?
池田: はい。現在、全国各地いたる所で放置竹林の増加により、土砂崩れや田畑を侵食する、杉・ヒノキを枯らすなど、「竹害」と呼ばれる問題が起きています。
通常、竹林における一本一本の竹の間隔は、傘を差してその中を歩けるくらいがベストな状態だと言われています。しかし、今は全く手を付けられておらず、竹林の中に入ることすらままならないという竹林も少なくありません。
私たちはこの「竹害」となる竹を間伐し、竹あかりとして利用することで、祭という側面だけでなく、環境問題解決型の取り組みを行っています。
また、竹あかりは非常にシンプルで、誰でも穴を開けさえすれば作ることができますが、私たちはそれが大事なんだと考えています。 誰か有名なアーティストを呼んできてお祭(イベント)をやるのではなく、自分たちの街は自分たちが作ったもので飾る、という意識が街づくりに繋がっていくんだと思うのです。
また、竹は無限の可能性を秘め、さらに、旺盛な繁殖力を持つために、持続可能な資源として利用することができます。今では、竹あかりで利用した竹を竹炭にしたり、粉砕し、約1年発酵させ、竹肥料として再利用もしています。 そして、その竹肥料を利用して、自社の農園でお米や野菜などを作っています。
このように、「人」と「まち」と「竹」を無駄にすることなく、循環させることで、ちかけんの作品は完成すると考えています。
竹の環境循環
また、自分たちのノウハウは全てオープンにしています。 自分たちとしては、「ちかけんはいなくなったけど、竹やぶがきれいになったね」と言われるようになれば良いという考えですね。 そのときは自分たちは竹ではない日本の他の問題に対してアプローチし、そこでビジネスとして上手く回るような仕事を手がけていければいいと思っています。 それが会社のコンセプトの一つでもあります。
-- 現在はどのようなところで竹あかりを行っているのですか?
三城: ちかけんとしてのメインイベントは地元熊本で行われる「熊本暮らし人祭り『みずあかり』」で、このお祭りには毎年数万人の観光客がいらっしゃいます。
私たちはこのお祭りに総合監修という形で関わらせていただいており、実際にのべ2,000人以上のボランティアの皆さんと一緒に竹を切り出し、竹あかりを作成すところから、装飾のレイアウト作成まで、総合的に手がけています。 企画から実現するまでの時間や手間は本当に大変です。
たった二日間の、のべ10時間足らずの時間に明かりを灯すのに、一年間かけて、企画から竹の伐採、加工、搬入などの作業までを行うわけですからね。
みずあかりの他にも、昨年の年末には熊本県とコラボレーションし、表参道・裏原宿に竹あかりを装飾しましたし、"ap bank fes"での装飾など、全国各地のイベントに呼んでいただけるようになりました。
結婚式場やホテル、飲食店の装飾はコンスタントに手がけさせていただけるようになり、忙しいときはトラックで寝泊りしている状態です。
-- 竹あかりの仕事とは話がズレますが、東北地方太平洋沖地震後、被災地でボランティアをされているとお聞きしましたが?
池田: 震災が起こった次の日に熊本から車で被災地に向いました。 被災地に向うにあたり、「行っても意味がない。邪魔になるだけだ」と非難の声が上がったのも事実ですし、自分としても「興味」の面も確かにありました。
ただ、これから日本が大きく変わるのは直感的に感じたし、誰よりも先に自分の目で見て、九州に情報を持ち帰り、そして、その中で自分たちのできることをやっていきたいと思ったんです。
それで、実際に現地に着いたらまず、様々な人に「自分たちの力は役に立つのか」ということを聞き、欲しいものを聞いていきました。その情報を持ち帰りながら、熊本では同時進行で若手でチームを作り、私たちが熊本に帰った時点で物資を集め始めた。
その結果、30tの物資と、300万円の寄付金を集めることができました。
現地では、自分たちで動き、情報を拾いながら手探りで支援を続けたのですが、市の指定した避難所には物資が届いていたものの、それ以外の多くの避難所には満足できる物資は届いていないことがわかりました。ですから、自分たちはそのようなところを中心に支援しました。
また、震災後、被災者の子供たちをリフレッシュを兼ねて熊本に連れて帰り、マッサージやお好み焼きの作り方を覚えてもらうなどの活動も行っています。 その子供たちは避難所で実際にマッサージやお好み焼き作りを実践し、他の被災者の皆さんに喜んでもらっているようです。
-- 現地に行き、心境に変化はありましたか?
池田: まず、「これからは私たちがやっていることや考え方が活きる時代が来る」と思いました。
今まで、「環境循環」や「チャリティーイベント」というものはどこかパフォーマンスとして見られていましたが、これからは皆のハートのど真ん中に刺さるのではないかと思うのです。
自分たちはお金のことを考えずに被災地に向かいましたが、結果として、自分たちを資金面からも応援してくれる企業の方がいました。
動く人、お金を出してくれる人、モノを出せる人との間でしっかりとネットワークを組むことで、多種多用な動きができていくとも思うのです。
そう言った点では今回の震災では、自分たちは人間の体であれば頭ではなく、手の部分の役割だったのだと思います。目の前に倒れている人がいれば何も考えずに手を差し伸べる。そういう動き(役割)ですね。
ただ、反面、被災地の光景と被災者の生活状態を目の当たりにし、自分たちは弱い存在であるとも痛感しました。もし、被災地が熊本県なら、企業としての体力がない自分たちは誰よりも弱い立場だったのではないでしょうか。
これからは、年齢を重ねたとき、このような状況でもフレキシブルに対応できる考え方、そして会社を作っていきたいですね。
(注釈 ※1)まつり型まちづくりとして取り組んでいる例
うすき竹宵(大分県臼杵市)
・熊本暮らし人祭り「みずあかり」(熊本県熊本市)
編集後記
合同会社ちかけん様とは同郷ということもあり、学生時代からの付き合いなのですが、彼らの作品の美しさはもちろん、その人柄の良さとフットワークの軽さに多くの人たちが彼らの周りに集まり、一種のコミュニティを形成しています。 熊本では、そのコミュニティをきっかけとして、老若男女、様々な職業、立場の人たちが協力し、新たな街づくりの取り組みも始まっています。
これから重要になるキーワードの一つにコミュニティ型ビジネスという言葉があります。 合同会社ちかけん様には、公共性と収益性のバランスを上手く保ち、是非、コミュニティ型ビジネスの先駆けとなっていただきたいと思います。
インタビュアー 林 信吾
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