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THE 対談

岩崎 剛幸 × 株式会社渓水 代表取締役 菅野 敬一 様 VOL.3

岩崎;
これからは、効率を追求する時代から、非効率を追求する時代に変わると私は確信しています。
その一番の非効率なことが、好きなものを作るっていうことだと思うんです。菅野社長は好きなものだけ作っているのに、すごくデザインセンス溢れたモノを作っています。これは私の勘ですが、菅野社長はきっと小さい時からいろんなものを見て育ってきたんじゃないかと思っていたのですがどうなのでしょうか。
 
菅野社長;
そうですね。写真が好きだったり、写真を撮るのも好きだったりで、おのずとカメラを好きになったんですね。その時に親父からもらったのがライカのカメラ。シャッターの音やカメラの触り心地がもうたまらない(笑)。
昔は遊んでくれる人がいたんですよね。ウェイティングバーがあって、バーテンダーと話してダイスを覚えさせられる。そういうのを覚えていくと、良いレストランはどういうものかがわかってくるんですよ。そういう人たちが若い奴を育ててくれていた。あたしもそういうかっこいい大人のいろんな仕草を見てきました。ワインの抜き方とかソムリエナイフの使い方とかを見ていると、あーこうすればいいんだというのがだんだんわかってくるんですよ。
当時住んでいた麻布の山の上のほうには、そういうレストランがぽつんぽつんとあって、看板も出ていないような店があったんですよ。そういう店に常連になっている先輩がいると、その先輩にくっついていって、なんにも知らないガキが遊びを覚えていくんです。これがモノに対するこだわりの原点かもしれませんね。
昔はそういうものが氾濫していました。昔のハンフリー・ボガードはかっこよかった!!あれはダンディズムの象徴です。当時の女性はみんな憧れていました。とにかく男はタバコ吸って黙っていろ、という感じ。今言ったら笑われるでしょうね。
陰に隠れて人のためにやれとか、男は我慢しろとか、靴の磨き方が大事なんだとか。そういうのがあるわけですよ。かっこよさのもとには。
あたしなんか普段ネクタイなんかしないわけだけども、ネクタイ締めるときはチョウタイがほとんどです。日本の一流セレクトショップなんかで「チョウタイありますか?」って聞くと紐にゴムなんか付いててホックで留めるのなんか平気で出してくる店員がいるんですよ。「おれは漫才やるんじゃないんだから」っていうんです。「うちにはこれしかありません」なんて言うから呆れちゃうんです。
チョウタイってのはそれを自分で鏡見て絞めている仕草と、外す仕草が格好良いんで。そこが命なんですよ。だからチョウタイを絞めるんです。海外なんか行ってごらんなさいよ。ホックで留めるチョウタイなんか売ってないし、そんなもん首にぶら下げてパーティー行ったら笑われちゃいますよ。その仕草を練習するのもけっこう大変。
ブロードウエイの映画ではフランク・シナトラもフレッド・アステアもそうだった。ちなみにあたしが好きな男はフレッド・アステアとフーテンの寅さん。便利さを追求するとその辺は捨ててしまうでしょうけどね。
 
岩崎;
確かにそういう「カッコ良さ」を知っている人がまわりにも少なくなっている気がしますし、教えてもらうこともなくなっています。私が興味があるのは、このような菅野社長のカッコ良さの原点です。ここに菅野社長のモノづくりの原点があるように思うのです。
実は私は、AERO CONCEPTというブランドをどう作ったかに興味はありません(笑)。AERO CONCEPTの良さとかデザインとかは見る人が見ればわかりますから。私が一番聞きたかった話は、このブランド開発には背景があると思ったからです。
デザインの背景。菅野社長は何かを絶対に経験して体験している中で、自分なりにスタイルを持って、揺るぎない哲学を持ったのではないかと感じたのです。
菅野社長;
あたしみたいにかばん屋じゃないのに、町工場がカバン業界に参入して戦って、なんて、そんなことできるわけない。カバン業界はおいしいから、今までのカバン業界を覆す、なんてことはこれっぽっちも考えてないのです。
よく、川崎、滋賀、東大阪が持っている技術を活かして新商品開発しよう、とかありますよね。プロダクトデザイナーを投入してコンシューマー向けのものを販売する、とかよく聞くけど難しいだろうなと思いますよね。それで成功させようと思っているから無理がでてくるんです。そして失敗したらやめちゃう。誰かのせいにしちゃう。次がない。プロダクトデザイナーは売りやすいものを提案する。いかに売りやすいか、価格帯はどうか、から入ることが多いですよね。
あたしはそれを訴えない。材料は皮と金属。何も訴えない材料。でも、それで作られたものはなんか欲しくなる。材料としてその辺に積んであれば誰も欲しくないし、感動もしない。でも形にした時に物がしゃべっているような別物に変化する。愛情、職人の心が入るからだと思っているんですけどね。
岩崎;
それって貫ける人と貫けない人がいて、多くの人は妥協していますね。
菅野社長;
経営者も人の意見は聞くけど、売れるものを作る場合、手法としてはこうで、次こうで、差別化、便利に、多機能に、というのは当たり前だと思っていますよね。あたしはそれがたまたま嫌いなだけ。カバン作っても、ショルダー付いてないと駅でキップ買うときに不便、ってそんなことわかるよ。だけどオシャレな人間が上質のジャケットにショルダーをかけたりしないでしょ。そういう感覚を大事にしたいと思っているんです。
あるバイヤーは、「やっぱり感性ですよ」とか言うんだけど、帰りに夕焼けが出ていても、何も言わないでお帰りになる。そんな人の言う感性なんて嘘だと思う。夕焼けに感動しない人で感性を語る人間は好きではないですね。
Vol.4につづく)
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岩崎剛幸プロフィール
船井総合研究所
ブランド&PRチーム 上席コンサルタント
岩崎 剛幸
平成3年4月株式会社船井総合研究所 入社。
■ コンサルティングポリシー
 「戦略は情熱(思い)に従う」
■ 主なコンサルティング領域
 ・ブランド&PR戦略コンサルティング
 ・百貨店、専門店など流通小売業の企業戦略策定支援
 ・メーカー、小売業、サービス業のマーケティング戦略策定支援
 ・ベンチャー企業の成長戦略策定支援(M&A、IPO)等
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