■商品のブランドと、店舗(企業)のブランド
商業施設において、ブランド力が問われるのはどういう場合でしょうか。
「この店が」「この会社が」「この商品が」さまざまな主語がありますが、なにを主語にして商売の信用を得るのか、この信用の源泉がブランド力といえます。
上代商品と下代商品という分類をしてみると、メーカーブランドの強い上代商品は「商品」のブランド力がものをいい、そうではない下代商品は「店舗(販売者)」のブランド力がものをいう傾向が強いです。
現代の商売では、上代商品の多くは大手量販店が圧倒的に強く、中小企業にとっては下代商品が中心になっていることが多かろうと思います。この下代商品の店舗におけるブランディングについて、この定点観測で何回かにわけて連載してみたいと思います。
■お店が地域ブランドを確立している企業の取り組み
ローカルでも「~さん」と呼ばれる店があります。
中京地区に拠点の多い総合量販店の「ヨシヅヤ」という会社があります。
この会社の地域ブランド力は非常に高く、地元では「ヨシヅヤさん」と呼ばれています。改装工事で休業中の店は、その店前からシャトルバスを出して近隣自店までお客様をお送りしています。
地域行事には社長が優先的にスケジュールを入れて、地域交流(たとえば小学校の芋ほりなど)にトップ自らが参画することで地域との密着度を高めています。
店舗を新築する際には、近隣住民の方々にご迷惑をおかけするということから、開業前のレセプションに地域住民の方々をご招待して盛大なパーティを開催します。
私も出席したことがありますが、おいしい料理をずらりと用意した本当に盛大なパーティで、参加された地域住民の方々も「ここまでしてもらうとは」という感想を述べられるほどでした。
北海道にも「六花亭さん」と呼ばれる、有名な六花亭という会社があります。お土産ではとてもポピュラーなブランドです。
そこまでメジャーではない地域企業、それも総合量販店で、こうやって地域ブランド力を高めるための努力をなされている会社が、がんばっています。
■商業施設のブランド力とは?
商業施設にとってのブランド力は、消費者に対してのブランド力と、入居するテナント企業に対するブランド力の二つがあります。後者は、一般的なお店では「取引先」と理解すればよいでしょう。
継続的に成功しようと考える際に重要なのは「よきビジネスパートナーを得る」ことです。「よき従業員・よきビジネスパートナー・よき顧客」この3つが企業のブランド力を高める上では必須といえるでしょう。消費者の支持が得られることで、入居テナント(取引先)にも支持が得られる、その結果新たな顧客を生み出すことができる、という善循環が最も理想的といえるでしょう。
商業施設の場合ですと、これは「成功するビジネスモデルを生み出す」というところに、その原動力がありました。1990年代は売場7000坪程度のSCが、2000年を越えますと売場15000坪クラスのモール型SCになってきました。ビジネスモデルで大事なのは「集客のエンジン」です。収益から発想すると、計画倒れになることが多数。まずはお客様に来店いただくために、店がどんな取り組みができるかが大事です。集客力があれば、それはブランド力に直結します。
よく、大手企業様とお話していますと、MD(商品)に対するこだわりを軸に発想される事案が多いようです。
もちろんMD(商品)あっての商売ではありますが、その一歩手前に「集客の仕組み」を発想しておかねばなりません。どこからともなくお客様が沸いて出てきていただければよいのですが、実際にはお客様は集めなければ集まりません。
たとえば、大型商業施設の集客エンジンは、むかしは食品売場だけでした。そこに大型専門店をプラスし、さらに映画館や温浴施設を加え、そして無料で遊べる屋上庭園と、商業施設も物販からサービス方向に集客核を多様化させてきています。
これがアウトレットモールですと、ほとんど商品のみで集客しているわけですが、「アウトレット」というキーワード自体のブランド力を確立するに至るまでは、来店されたお客様をがっかりさせないだけのMD(テナント)を確保してきたという努力がその背景にあります。なので、MDをやりきれずにお客様をがっかりさせてしまったアウトレットモールに関しては、短い期間でなくなってしまったものも多数あります。
ブランド力強化のために、いまいちど見直さねばならないことは何か。
それは、MD(商品)構成と同時に、時代に即した集客の仕組みの見直し・付加ではないかと考えます。
このコラムでは、「ストアブランド」づくりについて何度かにわけて連載したいと思います。
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