ブランディング定点・定物観測

2012年の百貨店売上高の伸びをどう見るか?

2012年の百貨店売上だが久しぶりに前年を上回ったというニュースは百貨店業界では久しぶりに明るい話題となりました。

2012年の全国百貨店売上高が既存店ベースで6兆1453億円と前年比0・3%増となったというものにです。百貨店の年間の売上高が前年を上回ったのは実に16年ぶりです。

16年間も落とし続けていたことにびっくりされた方もいるでしょうが、それに歯止めがかかったということで、さまざまなメディアで取り上げられました。

個人的にはとてもうれしいニュースであり、また消費にプラスになることでもあるのでずが、その実態はどうなのでしょうか。
実際には、「ここからが本当の正念場」と見るのが正しい業界の見方です。 その理由を私は次のように考えます。

(1)都心駅前大型店への集中投資がいくつか重なったこと(例:大丸、阪急など)
(2)2011.3.11翌年で、3月は爆発的に売上を伸ばしたことが牽引(周辺数ヶ月分は恩恵に)


八王子そごうが閉店し、中国地区のいくつかの百貨店も閉店、新宿三越アルコット閉館、今年に入って沼津西武、呉そごうと続々と閉店が続いています。前年比プラスとはあくまでも既存店で前年比較ができる店での話であり、業界のマーケット自体は縮小しているというのが実態なのです。

そして、都心駅前への一極集中、集中投資と地方ローカル百貨店の放置、あるいは閉店という二極化が進むのが2013~2015年。 いよいよ耐えられなくなる店がさらに数十店舗でてくるでしょう。

ではどうなったら百貨店の売上が好調を持続していると見ていいのでしょうか。 そのポイントは3つあると私は診ています。

(1)売上構成比35%、粗利の高い衣料品が伸びること
→ 日常的に、比較的若いOL層や主婦が買い物を始めたとみることができる。
   百貨店の衣料品売上は若干伸びているのが、まだ十分に伸びていない。前年比3%程度のアップが必要。

(2)雑貨はもっと伸びないといけない
→ いま元気なのは、化粧品、美容、バッグ、靴、時計・宝飾、などの雑貨関係。
   ここの顧客の消費は増えているが、百貨店はまだまだ思うほど伸びていない。
   もっと伸びてもいい分野です。ただこの消費は「貯蓄よりも高級時計」という人も多く、
   相場が変わったらすぐに売り、金に変えたり、株に変えたりという人も多いる不安定な部門でもありますので
   注意が必要ではあります。

(3)食品が牽引役だが伸びが落ちてきている
→ 確実に強豪の影響。スーパー、CVS、駅ビル、GMS、ドラッグストアはじめ、
   ありとあらゆるところが食品は強化している。
   百貨店にとってデパ地下は鍵を握る部門(集客)だが、リニューアルしなければ集客できにくくなっているのも
   事実です。
   名古屋松坂屋本店のように、食品売場だけに数十億かけて投資するのも、
   継続した集客力アップのために必要な投資となるでしょう。

今後の見通しは
2013年の夏物はセールは売れると思います。
2013年3月の伊勢丹新宿本店のリモデルグランドオープンを皮切りに、さまざまな店でリニューアルが実施され、消費を牽引することになるでしょう。

今年後半(9月ごろ)~2014年3月まではかなり伸びることはまちがいありません。。消費税増税前の駆け込み需要があるからです。

そして、2014年~15年は非常に厳しい年になります。これが、さらに10%へと増税されたら、さらに追い討ちがかかるため、マイナス5~6%程度になると予測されます。

ちなみに、1996年の百貨店の既存店売上高は5年ぶりの増加となり1・8%増でした。それが増税した1997年は1.9%減、1998年は5.0%減となっています。 同じような傾向が今回もあると思われます。

これからの百貨店は本当の意味でお客様に喜んでいただける仕掛けや企画をして、夢を提供する店になるためのMD力こそが必要です。 MD力がない店は淘汰されます。
これからの時代こそ、マーチャンダイジングが大切な要素となってくるのです。
人気のコンサルティングレポート
■ 著者プロフィール
岩崎 剛幸(いわさき たけゆき)
船井総合研究所 ブランド&PRチーム 上席コンサルタント
「組織は戦略に従う。戦略は思い(情熱)に従う」というコンサルティング信条のもと、出会うすべてのお客様に対して、情熱を込めたコンサルティングを行う。コンサルティングテーマは、「永続性を実現させるブランド戦略」。アパレル業界を専門領域として、アパレルメーカーの戦略立案、新業態開発を得意とし、SPA専門店、百貨店、GMS、品揃え型専門店にいたるまで川上から川下までのコンサルティングを実施している。現在はアパレル企業のブランド戦略づくりに特に力を入れている。立教大学兼任講師。
新商品の認知度を高めたいのですが、どうすれば良いですか?
日本での知名度を高めるためには、どういったプロモーションが必要ですか?
自社のあり方に悩んでいます。どのような経営指針を立てれば良いでしょうか?
これからの自社のビジョンについて相談したい。
うちの会社を有名にしたいのですが、どうすれば良いですか?

会員登録はこちら

会員登録する(無料)

会員登録すると、

  • 業界最新情報満載の
    コンサルティングレポートの閲覧
  • メールマガジン無料配信登録

などの特典がございます。

facebookページはこちら
岩崎剛幸のブログ
大嶽広展のブログ