ブランディング定点・定物観測

売れる雑誌 2010年5月(【号外版】“書籍広告より読み解く”シリーズ)

いつも、定点・定物観測「書籍広告より読み解く“ビジネスパーソンが求めていること”」(2010年1月・2月・4月のバックナンバーはこちら)をお読み戴き、誠にありがとうございました。
世相を見る視点として、新聞に広告掲載される書籍を紐解くことは、とてもわかりやすく、ご好評を戴いております。

さて、新聞には書籍以外に、もう一つ出版社の大切な収益源であり、かつ感度の高い方々に読まれている雑誌の広告が頻繁に掲載されていますね。しかしながら、この不景気の中、出版不況と叫ばれてかなり長くなります。 

インターネット、フリーペーパーの台頭で、雑誌の存在価値が急速に薄れている感覚をもたれる方も多いと思います。だからこそ、雑誌が売れなくなり、これまでメジャー誌だった雑誌も休刊に追い込まれていくのでしょう。 また、発行部数が減ると、広告主も離れていきます。部数が少ないとしても、とがった特集や編集で、ターゲット像が明確であれば、広告主も出稿を検討するはずですが、効果だけではなく、効率面で説得力に欠けてしまいます。

 しかし、では全ての雑誌が売れなくなり、影響力がなくなっているのでしょうか。それは違います。確実に、というよりも右肩上がりに発行部数を伸ばしている雑誌もあります。 私は、雑誌の編集部にはやはりそれまでの歴史があり、高い編集力があると思います。インターネットやフリーペーパーとは違い、情報を与えるだけではなく、読んでいて楽しめるという付加価値があります。ビジネス誌でも新聞ほどタイムリーではないですが、高い取材力を活かした、ためになる特集は多いです。 雑誌は時代を作ってきました。『anan』『non-no』『fine』など、いわゆるアラフォー世代の方々は確実に影響を受けて、共に育った世代ではないでしょうか。新しい言葉、流行を作り、他のメディアに影響を与えてきました。 

今売れている、伸びている雑誌を見て、何が受けているのかを紐解いてみます。

 以下は、2007年~2009 年の雑誌発行部数TOP10です。男性誌、女性誌に分け、ファッション誌、主婦誌、ビジネス誌に絞っております。

女性誌雑誌発行部数トップ10(出典:日本ABC協会)

男性誌雑誌発行部数トップ10(出典:日本ABC協会)

いかがでしょうか。
黄色に塗りつぶしているのが、前年比100%を超えている雑誌です。この不況に本当に頑張っています。

女性誌では、『sweet』、『In Red』、『ポップティーン』、『SEVEN TEEN』の4誌で、男性誌では『smart』、『Tarzan』の2誌です。

注目はやはり、宝島社の『sweet』『InRed』ですね。『sweet』は1月号で105万部を発行し、実売も99万部まで達したと言われています。『sweet』はその増減率を見てもわかるとおり、毎期150%前後の成長率です。2009年下期の平均が50万部近いですから、さらにこの勢いで成長しているということですね。

また、『InRed』も毎期140%以上、時には200%も成長しております。本当に出版不況なのかと疑いたくなる実績です。

まずこの2誌、この絶好調の理由として良くあげられるのが、付録です。雑誌の間に挟まり、コンビニに置かれていると違和感が出るほど分厚くなっています。この付録、単純にブランド側が決められたものをつけているわけではなく、宝島社から作りたいものをオーダーして作っているのです。読者と直接対話をしている編集部だからこそ、読者の好みをしっかりと見極め、単なるおまけではなく、本当に欲しいと思われる付録が作れているのです。

ただし、『sweet』『InRed』が売れているのは、付録だけではありません。付録だけであれば、どこの出版社でもできます。宝島社はターゲットを明確にし、そのターゲットの共感を獲得することに非常に優れているのです。

雑誌は4媒体の中でも、もっとターゲットが明確にされたターゲットメディアですので、どの雑誌でもターゲットはある程度設定しておりますが、20代、とか30代、とか少し緩めの設定の雑誌も多いのです。しかし、『sweet』は28歳とかなり明確です。明確だからこそ、いつまでもかわいい大人でいたい、という心理を的確に捉えた編集ができているのです。

また、テイストもアイテムを見せるのではなく、スタイリングを見せることによって、見ているだけで楽しい誌面を演出しています。言葉使いもうまく、ターゲットの共感をうまく得ているのです。

それにしても、前年比100%を超える雑誌6誌のうち、3誌が宝島社から出版されており、宝島社の強さを感じます。この秋にも2誌発行するとニュースが出ておりましたので、まだまだ勢いは続きますね。

もちろん、この宝島社のKFSは雑誌に限ったものではありません。非常に重要なマーケティング戦略と捉えられます。

3C分析で考えると、まず消費者の環境が大きく変わりました。不況に入り、これまでの赤文字系のような憧れのもの選びではなく、もっとシンプルに、等身大への共感へと、女性たちのアンテナが舵を切りました

雑誌はこれまでの読者を抱えていると、テイストをがらっと変更するのは困難です。いわゆる経路依存性というものです。したがって、消費者に飽きられたら休刊に追い込まれてしまいます。ただ、全ての女性が同じ方向に向くわけではないので、必ずその雑誌のテイストが好きな女性たちは残ります。

そして、自社ですが、もともと専門学校生系の個性派カジュアルを得意分野としていた宝島社には、追い風になったといえ、強みを存分に活かせる環境になったと言えます。

そして、ターゲットは前述したとおりで、やはりマーケティングでもっとも重要といっても過言ではないほど、狭くピンポイントで捉えることが重要なのです。

そして、そのターゲットに対して、共感を得るためのスタイリングによる誌面作りと新しい造語を作るような言葉使い、付加価値のある付録を商品とし、コンビニでは大量に陳列しているのです。

時流の変化を捉え、ターゲットを狭く深く掘り下げて、その潜在的なニーズに“共感”をキーワードとした付加価値のある商品を提供していくこと。当たり前といわれるかもしれないですが、教科書どおりの戦略は、実行するのはなかなか難しいものです。

勝ち組雑誌から学び、自社の戦略に活かせたらと思います。
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