過去のブランディングコンサルティングレポート

ユニクロの販売促進に学ぶ ~ 1坪25万円在庫の法則 ~

さて、昨年末ユニクロのある店舗に視察に行ってきました。デフレデフレと言うけれど、成功しているユニクロはすごいと世間ではよく耳にするけれど、果たして実態はどうなのか、これを自分の目で確かめる為に行ってまいりました。

そしてある法則を見つけました。ユニクロは売場1坪あたりにおける商品在庫高が25万円前後であること。この在庫を年間12回転程させるということ。

私が店舗に視察に行って行い、その後にIR資料の数値と比較しながら確認したことを順番にお伝えしていこうと思います。

そしてどういう視点で販売促進を行なえばよいかを紐解いてみようと思います。

まずお店に入り、全ての棚の商品点数と価格を大まかに数えました。
680円が何点、1990円がこの棚には何点、2990円が……5990円が……と言った具合にです。

するとあることに気づきました。900スパンの棚、約1坪の中で大体25万円~30万円分の商品が陳列されている。1,990円なら125枚、2,990円なら85枚、5,990円なら40枚といったように低単価商品は圧縮陳列をしています。全体を数えてみると店頭在庫で約3,000万円そのお店にはあることがわかりました。

1,990円の商品が最もボリュームを売場では作っていました。集客商品は680円のニットでした。仮に平均客単価を2,000円とした場合どれくらいの客数となるのか。

10分間ずっとレジを見て通過人数を数えてみました。3台のレジで10分間に10人程が買っていました。ざっくり言えば1時間で60人、8時間営業で480人ということになります。

その客数と客単価を入れてみたのが下記表です。客数はわかりやすく500とします。 

 ■表1
   
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そして経費の面を推計しました。スタッフは見た限りでは6人でした。賃料はその地域の不動産情報から仮に入れ推計します。

 ■表2 
  
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この客数と客単価、経費がどれくらい合っているか、見たお店はユニクロ全店の中では平均以上なのか以下なのかを確かめる為に会社に帰り、ユニクロのIR資料から全店の数値を確認しました。

公開されている数値が下記です。
 ◆全社業績 (単位:億円)
   
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 ◆販管費内訳
   
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 ◆従業員数から一人あたり売上・粗利高が推計できます 
  
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そして店舗の規模(面積)別の坪あたり単価を推計しました。全体の売上高に各規模別の店舗数と平均坪数で推計します。 
  
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そして再度下記の表1と表2をご覧ください。
  
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一坪あたり年間売上高の推計がほぼユニクロ全店の平均に近い数値です。
賃借料は安め、人件費比率は平均的なのがわかります。
おそらくこのお店の店長の必達数値は客数500人/日、客単価2,000円以上、月商3,000万円、年商3億6,000万円。そうでないとユニクロ全店の平均を下回る、足を引っ張っている店舗に該当するのであると思います。

そこで再度売場に立ち戻ってみます。
1坪あたり25万円~30万円分の在庫をしていると前述しました。
しかし680円の最下限価格の商品については圧縮陳列してもさすがに3段棚什器に400枚は置ききれません。

そこでようやく販売促進の出番です。

この低価格商品は1.強烈な集客となるか、2.回転率を上げるかしないと実は足を引っ張る商品になりかねないのです。
そこで販売促進4つの分類(広告・SP・PR・接客)の中のSPと接客の役割になります。 

1.集客商品とする為にチラシにおける打ち出しをチラシの第一等地に置く。
  店頭のPOPの訴求を最大化する。
2.売場で在庫を切らさぬようスタッフの配置はこの680円商品の近くに一人配する。 

前述した表にユニクロの広告宣伝費の売上高対比が記載されています。全社的には4.4%です。額にすると236億円。かなりの広告宣伝費です。トップのトヨタ自動車が毎年1,000億円前後、流通ではイオンが300億円前後です。確実に日本で宣伝費が高い30位以内に入ります。

しかしこれが全て店舗での販促に使われるわけではなく、マス媒体費やWEBサイト費、佐藤可士和さんとのコラボレーション費用など考慮すると店舗の販促費用は平均的流通業の販促費である1%程が適正なのだと思います。とすると視察した店舗の年商を仮に3億6,000万円だとすると年間360万円です。月間あたり30万円。チラシ3回にPOP、あとは固定客化の為の還元といったところでしょう。視察に行った時はまさに10億円還元キャンペーンが強く打ち出されていました。おそらく今後チラシに依存しすぎず、モバイルの活用でチラシの補完を図っていくのではないかと私は思っています。

ユニクロの宣伝費比率が高いのか低いのか、ここで業種別に比較してみましょう。
下記数値は広告宣伝費と販売促進費の合計の売上高対比の値です。
  1. コンビニ大手10社の平均:1.25%
  2. GMS大手14社の平均:1.74%
  3. ホームセンター大手10社平均:1.53%
  4. 百貨店大手10社平均:0.59%
  5. ドラッグストア大手9社平均:1.34%
  6. 家電量販店大手10社平均:1.5%
  7. 食品メーカー大手40社平均:5.82%
  8. 日雑・トイレタリー大手7社平均:7.74%
流通業はやはり1%~2%の範囲が平均的なようです。しかしユニクロは4.4%。
これは高い粗利率があるからこそなせる技です。マス媒体では藤原紀香さんをはじめ、外国人の起用などイメージ作りや高品質を想起させることに重きをおいて高いクリエイティブ力を発揮しています。チラシにおいては価格の訴求が明確です。売場では集客商品や低価格帯商品の回転率を徹底的に高める為にPOPが強化されています。

入口商品、集客商品に販促を集中投下しなくては店舗全体のバランスが崩れかねないのです。
他の業種でも同様ではないでしょうか。これは景気に左右されない基本であると感じます。お客様の購買頻度が高いものや最初のきっかけになる部分に販促をかける。しかしその入口商品を主力商品には決してせず、価格帯が少し上のゾーンにボリュームをもたせるのです。

だから680円のニットの売場は全体の5%~10%程しかありませんでした。

売場のボリュームは1990円~2990円です。大変うまいやり方をしています。 

◆ユニクロから学ぶべき販促のポイントを下記の通りまとめてみます。◆ 
 (1)入口商品と主力商品を明確にする
 (2)入口商品はチラシで大きく打ち出すが売場においては5~10%程の面積に留める
 (3)入口商品に対する店頭販促を最大化して回転率を高める
 (4)品質やイメージ作りをマス媒体、売上作りをSPが担うという役割分担が明確
 (5)販促費は売上対比2%以内
 (6)チラシは企業からのラブレターとして社長自らがチェックしている 

これら販促面以外にも学ぶべきことがいろいろあると実感しました。

ユニクロはデフレだから儲かっているわけではない。
低価格化しているわけではない。

型をなるべく少なくし、色とサイズの充実を図る。それにより生産コストを軽減させ価格に反映させる。その他縫製や素材の発注などにも数限りない工夫と苦労があるのであろう。単なる値引きをしていたらアパレルで48%の粗利益率を達成できるわけがないのです。

この粗利益率は今話題のアバクロも同様です。

流通の基本に忠実に行い、工夫をして価格に反映させる。
この大事さを今回のユニクロ調査で学びました。

そして以前アパレルのデザイナーの方の意見が大変強く印象に残っています。「ニットの糸の素材の良さで言えば日本ではユニクロが一番。高価格のブランド商品よりも良いほど。」価格ではなく品質でも勝負しているのです。この価格と品質のバランスが絶妙なのだと思います。

世間で言われている価格力以上に品質力と小売の基本に忠実な販売計画の立て方にこそユニクロに学ぶべきところがあるのではないでしょうか。

下記のように流通業の基本係数と比較してみても大変優秀であることが分かります。 
   
ユニクロの粗利益率と回転率の優秀さが一目瞭然です。

製造・物流コスト・人員の軽減で販促コストを捻出し、商品の低価格化も実現する。1坪25万円の在庫の回転率を高める為に入口商品の販促を強化する。ここにユニクロの販売促進の基本があるのだと思います。

強いブランドとは強い販売計画の基盤あってこそ成り立つのではないでしょうか。

最後までお読みいただき有難うございました。
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